非薬物療法の種類と高齢者に与える影響について

非薬物療法は薬を使わずに脳の活性化を促す治療的アプローチで、高齢者の認知機能低下の予防や生活能力を向上させる目的で、多くの介護施設で取り入れられています。作業療法や理学療法といったリハビリテーションのほか、園芸療法や芸術療法・音楽療法などを行っているところもあります。

園芸療法では、介護士のサポートのもと、高齢者が鉢植えの栽培やガーデニングを行います。自然には癒やしの効果があると考えられており、花・草木・土に触れることで、高齢者のストレスを軽減し、気持ちを前向きにする目的で行われています。また、作業を通じて高齢者が体を動かすきっかけにもなります。

芸術療法では、陶芸や粘土細工、絵画などが行われます。高齢者が絵を描く際には絵の具のほか、クレヨンや色鉛筆などを使います。実際に手を動かし、見たものを描くことで脳を活性化させることができます。集中して何かを創作することは、心の癒やしにもなるため、良いストレス解消にもなります。

音楽療法では、高齢者が歌ったり合奏したりします。また、心地よい音楽やなじみのある音楽を聴くことで、高齢者の心を和らげコミュニケーションの機会を作ります。グループ全体で音楽を楽しむことで、高齢者の孤立を防ぐことも期待されます。

園芸療法や芸術療法、音楽療法などの非薬物療法は介護施設ではレクリエーションとして取り入れられており、これらの非薬物療法を「レクリエーション療法」と呼ぶこともあります。高齢者のレクリエーションは単なる遊びではなく、QOLの向上を目的とした治療の一環でもあるのです。