介護における非薬物療法のデメリットと心得

認知症患者に対する治療は薬の投与を伴う「薬物療法」と、薬の投与を行わずに脳の活性化を促す「非薬物療法」に分かれます。リハビリテーションやレクリエーション、音楽の演奏などの活動が非薬物療法に該当します。

非薬物療法は認知症患者の日常生活動作やQOLの維持に欠かせないものですが、いくつかのデメリットもあります。

まず一つ目が、認知症患者に無理をさせてしまうケースがある点です。一般の人にとって簡単な動作でも、認知症患者にとってはハードルが高い場合があります。さらに、日によって調子の良し悪しもあります。介護をする人は、相手の表情や細かい動作に気を配り、疲れすぎないように配慮しなければなりません。

二つ目が、毎日継続することが難しい点です。たとえ介護施設でレクリエーションを開いていても、本人が好きなものでない場合や気乗りがしないときには、レクリエーションに参加したがらない傾向にあります。苦手なことは無理強いさせず、少しずつプログラムに参加するよう優しく促さねばなりません。

加えて、非薬物療法を行う側が参加する人の状況によって、臨機応変にプログラムを変えなければならないのも難しいところです。特に介護を始めたばかりの介護士は、思い通りにプログラムを進めることができず、ストレスを抱えてしまう場合があります。上手くいかない時は、一人で抱えずに経験豊富なスタッフに相談することが大切です。

非薬物療法を根気よく継続することが認知症患者のためになります。非薬物療法を実施している介護士さんは、一人ひとりが無理なく継続できるよう、手厚いサポートを心がけましょう。