音楽療法士のレクリエーション内容と資格の話

介護の現場では、心身の衰えた高齢者に対して少しでも機能回復に寄与するため、身体活動を促す体操やリハビリのほか、犬や猫と接するアニマルセラピーなどの取り組みを積極的に行っています。

近年では、心身の衰えが著しい重度の要介護者でも参加が可能な、音楽療法に注目が集まっています。単に音楽を流すだけでも、高齢者の精神の安定に良い影響を与えることができます。

特に、高齢者が懐かしい昔の音楽を聴くことは、認知症の症状の緩和に繋がると言われています。懐かしい音楽を聞きながら、周囲の高齢者と昔の話で盛り上がることもあるでしょう。懐かしい話でコミュニケーションが活発になれば、脳も活性化するため、楽しみながら脳を鍛えることができます。

このような受動的な音楽療法に加え、音楽に合わせて歌を歌ったりタンバリンやトライアングルといった簡単な楽器を演奏したりする能動的な音楽療法も盛んです。さらに、音楽療法と身体運動を組み合わせ、音楽に合わせて身体を動かすセラピーが高齢者の血行を促進し、脳に良い刺激を与えて心身共にリフレッシュするという事例も報告されています。これは、一般的にユーリズミックスやリトミックと言われる音楽教育に似た手法と言えるでしょう。

音楽療法士は、音楽療法の専門家として認められる民間の資格です。音楽療法士の資格には、日本音楽療法学会の学会認定音楽療法士と全国音楽療法士養成協議会の協議会認定音楽療法士が挙げられます。いずれも高校卒業後に各団体の指定した養成校や必修講習会に通い、カリキュラムを修了する必要があります。